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「ねえ、亜希? そろそろ帰ろ~?」
部活が終わった後、自主練をしていて次に見たときに、時計の針が差していたのは、6時過ぎだった。
一緒に練習していた梨花の一声で、ボールを打つ手が止まった。
「もう、6時過ぎ? ほんとだ、そろそろ帰らないと」
「早いよねえ、時間が経つの。特にさ、2年生後半から」
ネットを片付けながら、梨花はしみじみ語る。
そういえば、そうだった。本当にあっという間だった。あと、残り1ッカ月の部活動生活は終わりを告げる。引退した先輩も皆、こんな気持ちだったのだろうか。
「よし、カギ閉めたし帰ろ」
シューズから外履きに履き替え外に出た。6時を過ぎてもまだ、外は明るい。6月上旬、当然も日の長さも伸びていた。
「お、まだ生徒いるじゃん。何部? 校庭で、ユニホームって……」
梨花が目を細めながら校庭に目をやっていると、馴染みのある声が私を呼んだ。
「亜希」
友都だった。部活のユニホームを着たまま、友都も部活が終わったばかりなのだろうか。
「雨だ」
この気まずい空間を変えるかのように、雨が降り出した。細かい雨粒がアスファルトに打ち付ける。
「
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