待ちに待った運動会

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 先生がひなた君をなだめます。 「しぐれは普通の子供じゃないんだ。いやがってるのに参加させるのはかわいそうだろ?」  ひなた君は、しぐれさんの細い目をじっと見つめます。 「しぐれさん、本当は運動会出たいよね? 雨が降るとみんなに悪いから、いつも休んでんだろ?」  大きな目で見つめられ、しぐれさんは動けなくなりました。 「おい、ひなた! いくら人気者だからといって図に乗るな!」  先生は目をつりあげてひなた君の肩をつかみますが、男の子は先生の腕を振りほどきます。 「雨なら大丈夫! おれが出た運動会は雨にならない」  しぐれさんは目をパチパチさせ、小さな声で尋ねます。 「本当にひなた君が晴れにしてくれるの?」  男の子は力強くうなずきました。  しぐれさんは決心します。 「私、運動会に出ます」
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