待ちに待った運動会

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 体育館に児童は集まり、運動会の閉会式が行われました。 「午前中の競技の結果、優勝は一組となりました」    全学年の一組が盛り上がりました。一方三組、特に四年三組は、お通夜のように落ち込みます。  みんなが「午後もやったら絶対優勝したのに」とつぶやきます。 「ひなた、お前、リレーと徒競走出られなくて悔しいだろ?」 「うーん」  ひなた君は、優勝できなかったことより、リレーに参加できなかったことより、雨が降ったことが残念でした。  今まで遠足や運動会で雨になったことはなかった。だからみんな、自分を大切にしてくれた。  自分の晴れ男の力なんて、その程度だったのか。しぐれさんに約束したことが恥ずかしくなりました。  クラス中が不平不満をこぼしていたとき、だれかが声を張り上げました。 「お前が運動会に出たからじゃないか!」  声の主はしぐれさんを指差しています。  みんながしぐれさんを注目しました。 「なんで雨女のくせに運動会出るんだよ!」 「ひなた君が優しいからって調子に乗って」  しぐれさんの周りに輪っかができあがりました。  ひなた君はあわてて輪の中に入り、口を開こうとしたところ。 「お前らいい加減にしろ!」  先生の怒鳴り声が教室に響き渡りました。
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