晴れ男くんは人気者

4/4
前へ
/19ページ
次へ
 せっかく謝ったのにあんまりな返事です。 「カーストトップってなんだよ! おれは雨が嫌いなんだ。お前こそ変だ。雨の中暴れて」  しぐれさんは、首をかしげてほほえみます。 「私は雨が好きなだけだよ」  ひなた君の大きな目が、固まりました。 「しぐれさん、それ、おかしい」 「私はおかしいよ。でもひなた君、水は飲まないの? おふろに入らないの?」 「当たり前のこと聞くな! ふろは毎日入ってるに決まってるだろ」 「飲み水もおふろの水も、雨だよね?」  ひなた君のまん丸な目が、プルプル震えます。 「飲み水は浄水場で消毒してるけど、雨水は汚れてる」  しぐれさんの細い目が、線のようになりました。 「そうね。私は汚れてるもんね。じゃ」  女の子は背中を向けて、ぺたぺたと歩き出しました。  ひなた君は、びしょぬれの女の子に声を張り上げます。 「かさ、さして帰るんだぞ!」  しぐれさんの背中がピタッと止まりました。 「私、町ではちゃんと、かさをさしてるよ」  くるっとしぐれさんは振り返りました。 「そうしないと、君みたいな子に、うるさく文句言われるから」  またしぐれさんにひどい言い方をされ、ひなた君はショックのあまり動けません。  言い返す間もなく、しぐれさんはパタパタ廊下を走って消えてしまいました。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加