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驚いて腕で顔をかばってしまい、ペットボトルは全部歩道に落ちた。
「ご、ごめん! 大丈夫?」
幸い衝突は避けられたけど、不運なことに、ここは坂道。腕から抜け出したペットボトルたちは、好き勝手に転がり出していく。
急に飛び出してきたのは、クラスメイトの堀江だった。慌てて自転車を停めて駆け寄ってくれたけど、それよりも坂を転がり落ちるペットボトルをどうしてくれるんだ!
「もう! 堀江のせいだよ!」
「ごめんって!」
二人で無我夢中になって坂道を転がるペットボトルを追いかけた。一本、二本と拾い集めるが、勢いのついたまるい胴体はなかなか追いつかない。
「わ〜、このコーラは怖くて開けられない」
「今そんなことどうだっていいわ!」
のんきなヤツだ。まずは全部回収することが優先でしょ。そもそも堀江が突っ込んでこなければ、こんな事態にはなっていないのよ!
坂道も緩やかになって私たちの足取りもゆっくりになる。最後の一本が勢いをなくし、私は胸を撫で下ろした。
「はぁ、堀江のせいでひどい目にあったわ」
「ははは、ごめんね」
ヘラヘラと笑って、なんなんだ。嫌みのように大きなため息をわざとらしくついた。堀江の細い目がより細くなっている。
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