紙一重

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「俺んち連れてく」 「え、大丈夫なの?」 「先住猫がいるけど、多分大丈夫。俺が助けたんだし」  ミーミーと鳴く子猫を愛おしそうに胸に抱く堀江。こんな一面があったなんて。 「どっかから迷い込んで、側溝から出られなくなったんだろうね」  微笑む堀江は砂を軽く払いながら、頭から背中にかけて優しく撫でている。その度にかわいいしっぽがフリフリするのを見て、私もほっこりする。 「私、最近ついてなくて。失恋するわ、ジャンケンに負けてジュース買いに行かされるわ、自転車にぶつかりそうになるわ……」 「……ごめん」  目線をそらした苦笑いの堀江はそのまま話を聞いてくれた。 「ペットボトルは転がるわ、自転車将棋倒しだわで、本当についていないと思ってた」 「……確かに、ついていないね」  遠慮なく同意され、ついつい吹き出してしまった。 「でも、これらの一つでも欠けたら、この子は見つけられなかったよな〜って思う」  私たちが見つけなかったら、どうなっていたかな。でも、私たちじゃない誰かが気付いて助けたかもしれない。でも……。 「見つけてあげることができて良かった」  うまくいかないことをすぐに誰かのせいにした。不平不満をいつも何かにぶつけていた。 「世の中、悪いことばっかりじゃないよ」
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