満月

2/7
2196人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
 途中にある公園に差し掛かった時、何かがキラリと光った。 「ん? なんだ?」  この公園は、昼間は小さな子供を連れた親子で賑やかだが、 深夜は誰もいないはず。 あの光はなんだろうか? 気になった海斗かいとは、公園に近づき中の様子を伺った。 すると、公園の少し小高くなった丘の上で、人影らしきものが動いた。 まさか幽霊?  そんな訳はないよな、と思いながらもう一度同じ場所を見た。 そこには女性らしき人影が、空に向かって手をかざし、じっとしているのが見えた。 「一体何をしているんだ?」 海斗は不思議に思った。 その時またキラリと何かが光った。 その光は、女性が右手につけているブレスレットのようなものだった。 今夜は月明かりが眩しいくらいなので、ブレスレットに反射したのだろうか? よく見ると、女性の傍らには何か三脚のようなものがあった。 カメラの三脚? 彼女はこんな深夜に一人で一体何をしているんだろう? 写真を撮るにしては暗すぎないか? 月明かりがあるとは言え薄暗い真夜中に写真撮影? 気になった海斗は、公園の中に入りその女性に近づいて行った。 不審者と思われたくないので、あえて足音を立てて近づいて行った。
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!