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コンコン。
少し大きめにあたしはノックをした。こんなに大きいんだもの、これくらい叩かないと聞こえないかなって思って。
でも、いくら待っても返事が返ってこない。
もう一度。コンコンコン。
先程よりもう少し大きく。……それでも返ってこない。これはもう叫ぶしかない。
「すみませーん!」
また、返事なし。 …… と、思われた。中で何かごとごと音がする。
少し待ってみた。
がたっ。あたしの右の方から音がした。あ。あんなところに扉がある。あたしの身長と同じくらいの。もしかして、この大きいの、開かないのかなぁ。
その小さい扉から女の子が出てきた。転がったの 方が正しいかな。とにかく、女の子が現れた。
女の子の髪の毛の暗い青い色。曇り空の色みたいな。えっと、藍鼠色だ。腰ぐらいまであるであろう藍鼠色の髪 の毛を緩く巻いてて、紺色のリボンでハーフアップにしている。うす緑のドレス。腰の所できゅっと締められてスカートの裾はふんわり広がってる。ここが、屋根のある所でよかった。屋根がなかったら今頃この子、雨の中に飛び出てた。
「こんにちは! 上の方にいたから降りてくるのに時間がかかっちゃって、ごめんなさい」
女の子は顔を上げて笑顔を見せた。なんて、お人形みたいにかわいい子なんだろう。ぱっちりとしたグレーの瞳にふさふさの睫毛。桃色の頬に、紅い唇。その唇から紡がれるキンキンしない、心地よいソプラノボイス。
まだ小学生くらいかな。お化粧はされてないはずなんだけど、する必要がないくらいかわいい。そんな子が微笑んでる。
「こ、こんにちは」
「あなた、どこから来たの? わたしの言葉通じて る?」
「えっと、言葉は通じてるよ。 どこからっていわれても······。 ここはどこなの?」
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