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「どうぞ。これでいいですか?」僕は目の前でにこにこしている(作り笑いっぽいような気がする)烈識に鉛筆を渡した。
「……へーえ、ま、ありがたく貸してもらいますね」
今の間はなんだよ?!
古くて悪かったな。
「で…聞きたいことがあるんですが」
烈識は鉛筆を器用にくるくると回しながら言った。
とことんマイペースなやつだ。誰かと似てなくもないが…いや、比べるのは失礼だ!…じゃなくて!
「どうかしましたか?」
「なんでもないです。気にしないで話をどうぞ続けてください」考えを読み取られないように、僕は一気に喋る。まあ、はやく帰りたいというのが本音なのだが。
「…?ふふ、まあいいでしょう、…誰かのおかげで長居してしまいましたので、手短に…」
烈識はそこで一旦区切り、息を吸うと、
「人識のことを教えて下さい」
空気さえも凍るような口調をして、そう言った。
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