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出雲に見送られ、しばらく走り出した所で悠里に聞いてみる。今回の帰省は楽しかったか、と。
「うん!」
笑顔で三月が楽しみという。ホッとした、悠里もこの町に帰るのを楽しみにしているんだ。
「帰って来たらやってみたい事が沢山あるの」
ちゃんとノートに書き留めてあるという。
「まずは車椅子が無くても大丈夫な様に成りたい、あっちの家は大きいからせめて家の中は自分の足で歩けるようにしなきゃ」
うん、頑張れ。ジャックスが視界の中に見えないと車椅子を動かすのが怖いって言ってたもんな。
「それと何かお仕事に繋がる事が出来るようになりたい。私にも出来ることがきっとあると思う、だから諦めずに色々やってみる」
「そうか、分かった」
ああ、これは昔の悠里だ。やりたい事を決めたらそれに向かってしっかりと前を向く。あの頃の悠里はちゃんとここに戻って来て来ているんだ。
頑張れ、俺とお前の頑固さはうちの母ちゃん譲りだ。俺達をたった一人で生んで育ててくれて、死んだ後も俺達を護ってくれている母ちゃんのさ。
俺達はきっと、自分が決めたその場所に辿り着くまでは歩みを止めないのだから。
終わり
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