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「席替えするぞー」
先生の一言で席替えが始まる。
「明依梨(あいり)、前後だよ!やったぁ!」
友達の加々谷 菜津実(かがや なつみ)が言う。
「明依梨の隣、亜唆(あさ)だね。いいなぁ。」
竜宮 亜唆(りゅうぐう あさ)、私(白石 明依梨)は彼が苦手だ。自由でうるさい、なのに何故かすごくモテるんだ。チャラチャラしてるくせに。
まぁ、これから関わるだろうし、挨拶はしておこう。
「竜宮君、よろしくね。」
上手く笑えてるはず。
「うるせー。嫌いなんだよ。」
「ちょ、亜唆それはないって。」
亜唆の友達で菜津実の隣の席の青畑 玲衣(あおはた れい)が言った。
「青畑君、大丈夫だよ。」
笑顔を作って言った。
「だから、嫌いって言ってるだろ⁈俺、もう帰るわ。」
意味が分からない。嫌いだからってそんなに怒ること?
私もお前なんか嫌いだよ、そう言いたかった。でも、言わない。ううん、言えない。
「白石さん、亜唆がごめんね。ほんとはいいやつなんだけど、、、」
「ううん、大丈夫だよ。青畑君が謝ることじゃないし。竜宮君のこともいい人だってわかってるから。」
ほんとはわからない。あの人のどこが《いいやつ》なの?
だけど、何も言わない。だってそれが一番いいって知ってるから。誰も傷つかない、いい方法。
「明依梨、気にしなくていいからね。」
「菜津実、ありがとう。でも、全然平気だから。」
菜津実に何がわかるの?そう思った。でも、もちろん言わない。私の心の中だけに留める。
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