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第25話 こだわりのあんまん
【side カズ】
肉まんが食べたくてスーパーで三個セットの肉まんを買って来た。レンチンするやつ。さすがに寒くなってきた11月。こういうあったか~いのが食べたくなるんだよな~!
早速肉まんをチンして一人でほっこりしながら食べてたら、「疲れました」と言わんばかりのため息を吐き出し、しんちゃんが自室から出て来た。
あ、やば。しんちゃんのおやつ……買ってきてないぞ。
「あ、カズだ~。なに食べてんの~?」
「肉……まんです」
「コンビニ?」
問われ、首を振った。
しんちゃんはキッチンで湯を沸かし始めると、「いいな~、肉まん」と羨ましがることもせず、手際よくホットココアを作った。もちろん、ストロー付きだ。
ついでに俺の分のカフェオレも作ってくれていて、テーブルにマグカップが置かれた。
「わ、ありがとう!」
「お腹空いてたの?」
「うん、買い物行ったんだけど、外寒くてさ。あったかいの食べたくなったから」
「そかそか。買い出しありがと」
「しんちゃんも……肉まん、食べる?」
「要らない」
ですよねwww
「しんちゃんは、中華まんは食べられるの? 肉は無理だろうけど、ピザまんとか、カレーまんとか」
「うん、食べるよ。ピザは食べたことないけど」
「まじか!」
今やピザまんは、ど定番中のど定番じゃん!
「え、じゃ~、カレーまん一択ってこと?」
「いや、ん~、どちらかというと、あんまん一択」
「あんまん!!!!!!!!!!!!」
すっかり失念していたあんまんの存在!!!!!
「あんまんか~! そう言えば、高1の時にハマって食ってたけど、それ以来買ったことねぇ!」
「え、うそ~。美味しいのに~」
「確かに、美味いよな!」
しんちゃんは、うんうんと首を大きく縦に振りながら頷いたが、直後、ぴしっと人差し指を建てた。
「大村屋のが、美味しい」
「大村屋? ……まさかこだわりがあるの?」
「ある! 戸村屋の生地は、あんまり美味しくないの」
「……そう……なの?」
「そう!」
力強い返答。
えー……と。じゃあ、今食ってるこの肉まんは……、なに村屋の肉まんだ?
「しかも、戸村屋のあんまんは、こし餡なんだよ」
「餡にもこだわりが?」
「僕は、粒あんしか食べない」
「あぁ、そう言えばそうだったね!」
その後、しんちゃんの「大村屋のあんまん語り」がはじまり、俺は、今食べていた肉まんが戸村屋だったなんて、とてもじゃないけど申告できなかった。
肉まんの底に張り付いているシートを小さく小さくして握りつぶす。
大丈夫だよ、戸村屋さん。俺は、戸村屋も美味かったよ!!
それでも、大村屋の中華まんも近々食べてみようと思う。食べ比べだ。これで大村屋の方がうまかったら、戸村屋さん、ごめんなさい(笑)
「今度は、肉まんと一緒に、大村屋の粒あんまんも買ってくるよ!」
「うん、一緒に食べよう~! すごくおいしいから!」
しんちゃんはそう言って飲み終わったマグカップをキッチンへと運び、そして冷蔵庫を開いて叫んだ。
「戸村屋じゃん!!!!」
「ごめんって~~~っ💦」
今日も賑やかな俺達なのでしたwwwww
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