第30話 対抗心を燃やす

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第30話 対抗心を燃やす

【side しん】 「・・・しんちゃん。どした?眉間に皺寄ってるよ??」  そう。僕は、今悩んでいる。 「ん。ちょっと、考え事中~」 「・・・・・・・深刻・・・そうね💦 ココアでも入れようか?」  そう言いながら、カズはキッチンに向かう。  ありがとう、と返事をし僕の考え事は進行する。  少し前に、気が付いたんだ。  みんなが呼ぶ【カズ】は  赤ずきん君の【カズ】なんだって。  だったら、僕は…  キッチンでお湯が沸くのを待っているカズを見つめる。  今日もご機嫌だ。いや、僕に元気を分け与えるようにご機嫌を演じてくれているのか? 「カズ~」 「なに~?」  どしたの?って、カズはにっこり振り返って、そんな様子を眺めていたらケトルが「お湯が沸いたよ~」を知らせてくれた。  カズは僕の言葉の続きを気にしながらカップにお湯を注いで、それを僕の目の前に置く。ココアの甘い匂いと、カズのカフェオレの匂いが部屋中に広がっていた。 「カズ・・・・かづ?」  本名的には、【かづ】が正解なのだ。みんなが呼ぶ、ソレとは違う カズ。  だけど、大地君だけは【かづ】であることを知ってる。高校からの友人だって言ってた。大地君は、カズと本名で出会ってる。【かづ】で出会ってる。でも、僕が出会ったのは、カズ。の方で。。。  そこに、勝ち負けがあるわけじゃないけど・・・、あ~~~ぐるぐるする! でもきっと、カズは僕のぐるぐるにも、この違いにだって気が付かない。絶対!!  そんな僕を見て、カズがすっと、僕の眉間をなでながら 「俺、しんちゃんに名前呼んでもらうの、すっごく好き。」  ふふっと笑いながら、カズが言う。 「深刻な悩み、俺でよかったら聞くよ?」  優しく優しく微笑んでくれた。  いつも、優しいカズ。  ちっさなちっさな、大地君への対抗心。  そんな自分が嫌で、泣きそうになる…。 「お?どした?泣くなら、カズくんの胸、貸してあげる!」 「……泣かない!けど、その胸は、誰にでも貸し出してますか?!」 「しんちゃん専用にきまってるじゃーん!」 「じゃあ、使う!!」  僕専用カズの腕の中。  ・・・ぎゃーしてもらおう(笑) 5153e68e-28b6-4a28-aa6a-24a0a318a77e
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