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 結果からいうと、学校近くの商店街はまほろ通りではなかった。  形状がまるで違っていた。その商店街は屋根付きのアーケードが商店街の始まりから終わりまで続いていたのだが、『まほろ通り商店街』は入り口にしかなかった。それに商店街を貫く道も『まほろ通り商店街』の方はただのアスファルト舗装の道だった一方で、その商店街では淡い色のタイルが敷き詰められていた。 「アーケードがいつからあるって? そうだな、俺がこの店つぐ前だから三十年以上前ぐらいかな。雨のときの集客力アップを狙ってさ、商店街組合でつけることが決まったって話さ」  話を聞いたラーメン屋の店主は、張り出した腹を摩りながらそんなことを教えてくれた。 「あの、つかぬことをお伺いしますが、まほろ通りって聞いたことないですか? まほろ通り商店街でもいいです」 「まほろ通り?」店主は人差し指を顎にあて、少し考える素振りをしてから言った。「聞いたことないなぁ。この近くの商店街なのかい?」 「いや、それがわからないんです。昔行った記憶があるんですけど場所までは分からなくて」 「それで探してるってわけかい」納得したように店主は頷く。
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