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「まほろ通りを知ってるかって?」
職員室で小テストの採点をしていたシバセンは、ペンを持つ手を止めて僕とカエデに視線を向けた。
「というか、テストの採点中だ。見るんじゃないぞ。これも立派な個人情報だからな」
「それでまほろ通りの方は? まほろ通り商店街でもいいですけど、知りませんか?」
僕は机の上から目を逸らしつつ、そう訊ねた。シバセンは採点中のテストプリントを束ねて裏向けると「もういいぞ」と僕らに声をかけた。
「まほろ通りなあ……。聞いたことあるかなぁ。どこの県の道なんだ? それは」
「いや、それがわからないんです。昔、行ったことあるような記憶があるだけなんで」
「それは難しいな。何か特徴的な物はなかったのか? めちゃくちゃ美味いラーメンを出す店があった、とか、独特なメニューのあるラーメン屋があったとか」
「なんでラーメン屋限定なんですか。……それはそうと特徴ですか?」
僕はカエデに話したことと同じこと、つまり『ザ・昭和』な感じがしたこと、入り口に『まほろ通り商店街』と書かれたアーケードがあったことなど覚えている限りのことを話した。
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