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やはり“まほろ通り”なんてものは存在しないのかもしれない。記憶にある限りでも通りに並ぶ店は相当古びていた。再開発が激しい昨今、そんな商店街は通りもろとも潰され、大きなショッピングモールに置き換えられている可能性だってある。
そうなれば探すのはさらに難しくなる。考えれば考えるほど、手詰まりな感じがする。もうダメかもしれない、そんな考えが優勢を極めた頃、思いもよらない方向から“まほろ通り”に関する情報が見つかった。
「まほろ通り? ああ、知ってるけど?」
ある日の休み時間、席が前の矢田にまほろ通りを探していることを話すと彼はあっさりとそう答えた。
「ど、どこにある!?」
「どこって、強いて言うならスクリーンの中?」
「はぁ?」
「実在しないぞ。映画に出てくる商店街の名前だ」
「映画?」
ああ、そうだ、と彼は自信満々に頷いた。
「『時をかけるバス』というタイムスリップ映画で主人公が昭和時代にタイムスリップしたときに訪れた商店街がたしかそんな名前だった」
「それは確かか!? ネットで調べてもそんな情報なかったぞ」
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