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「えっ、学校の近くにそんな場所あるの?」僕はすぐさまスマートフォンを開きマップアプリを起動する。「どのあたり?」
カエデは机から身を乗り出して僕のスマートフォンの画面を覗き込む。
「駅の向こう側。学校と反対側だから馴染みないかもしれないけど、駅を出て少し歩いたところにあるはずだよ」
画面を操作しながら、商店街だと思われる場所を探す。マップに表示されている道路にはそれぞれ『国道〇〇号線』だとか、『〇〇通り』など道路の名称が表示されている。だが、そのどこにも『まほろ通り』という表示はない。
「やっぱり違うみたいだね……」
声のトーンが低くなって、カエデが言う。
「もしかして正式名称じゃなかったのかも。地元の人たちは『まほろ通り』って呼んでたけど、正規の呼称じゃないから地図には載らなかった、とかありそうじゃない?」
「ないこともないだろうけど、そのあたりは現地に行かないとなんとも言えないね」
「よし、じゃあ行くか!」
「行くって、今から!?」
当たり前だろ、と僕は残ったアイスコーヒーを煽った。
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