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「バレバレだよ、山野くん分かりやすすぎ。あと私の洗濯物勝手に畳むのもやめてよね。パンツとか恥ずかしいじゃん」
私が笑うと山野くんは拗ねるような、困ったような顔をしていた。
「俺はもう笹原先輩をもう縛り付けたくないのに」
「そうだね。私もう三十代よ。山野くんより年上」
「はあ?何言ってるの、笹原先輩は何歳になっても素敵だ!」
怒ったような口調で山野くんは言った。それなのにいつでも目はキラキラとしている。私は改めて思っていた。山野くんはやっぱり私の神様だ。すると山野くんはまた唇をむぐむぐさせながら目を伏せてしまった。
「……あの時助けに行けなくてごめん。俺何もできなかった。だからこんなとこにいる資格俺にはないんだよ」
「ううん、山野くんは私を助けてくれたよ。別に資格とかじゃないけど、山野くんにこれからもそばにいてほしいな」
「でも俺なんかといたら結婚もできないし子供も作れないよ。良いの?」
私は笑いながら首を振っていた。そっと山野くんの頰を撫でる。触れられないのに、彼の熱を感じたような気がしていた。すると山野くんの唇が我慢できなくなったように解けて、目からは涙が溢れてきた。
「ああ、笹原先輩だ。笹原先輩だ。俺、本当はずっとずっと寂しかったよ」
私は彼の泣き顔を見ながら笑みを浮かべる。私は山野くんが大好きだ。
「おかえり」
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