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宮殿があるこの街から少し外れた、まったくと言っていいほど日陰がない一角にある小さな街。
日中はすっげぇ暑くて夜はすっげぇ寒い。そんな場所にオレたちは住んでいる。
え? じゃあ、どうして宮殿がある、この盛んな街に住まないのかって?
それはオレたちが、身分制度っていう王が決めた制度でつまはじきにあった、ものすごく下の位にいるからだ。
ひとことで言うならば、人生の負け組みたいなものだな。
スラム街に住むオレたちは同じ人間なのに、そうやって蔑まれて生きる奴隷みたいな存在だった。
世間では、王権がワーリーになってから身分差は殆ど無くなったと言うけれど、今も悲しいくらいにそれがちゃんと根付いている。
上の奴らはそれに気づかず、あるいは気づいていても見ないフリをして生きている。
それは、なんでかって?
そんなの決まってる。
自分よりもずっと苦しい立場にいる奴がいれば、『自分はまだマシだ』って思えるだろう?
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