1.Escape~逃亡の果て

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 宮殿があるこの街から少し外れた、まったくと言っていいほど日陰がない一角にある小さな街。  日中はすっげぇ暑くて夜はすっげぇ寒い。そんな場所にオレたちは住んでいる。  え? じゃあ、どうして宮殿がある、この盛んな街に住まないのかって?  それはオレたちが、身分制度っていう王が決めた制度でつまはじきにあった、ものすごく下の位にいるからだ。  ひとことで言うならば、人生の負け組みたいなものだな。  スラム街に住むオレたちは同じ人間なのに、そうやって(さげす)まれて生きる奴隷みたいな存在だった。  世間では、王権がワーリーになってから身分差は殆ど無くなったと言うけれど、今も悲しいくらいにそれがちゃんと根付いている。  上の奴らはそれに気づかず、あるいは気づいていても見ないフリをして生きている。  それは、なんでかって?  そんなの決まってる。  自分よりもずっと苦しい立場にいる奴がいれば、『自分はまだマシだ』って思えるだろう?
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