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そうしたら不幸のどん底にいる奴も幸福に思えてくる。
この世界の頂点にいる奴らは、そういう汚い奴らばっかりだ。
だからオレは、金持ちたちが大嫌いだ。
……いつか、きっと――。
こんな狭苦しい国から抜け出して、広い世界を見てみたい。
それが、オレの夢だ。
……なんて、語ってる場合じゃなかった。
「観念しろ、このコソ泥が!!」
目の前に広がる路地からは、短剣を腰に差している男がひとり。男が持っている短剣の切っ先はうねっていて独特な形をしている。
あれ、ジャンビーアっていうんだ。
そんでもって奴は白い長衣のカンドーラを着て、頭にスカーフを巻いた細身の男。奴は裕福そうな身形からして兵士だな。
念のために後ろを振り向けば――。
やっべ!
後ろからも3人、前からやって来る兵士と同じような格好をした奴らがオレを捕まえようと向かってきている。
挟み撃ちにされた!
オレとしたことがしくじったぜ。
今日のオレはツいてない。
まったく、らしくもねぇ!
こんなヘマをするなんてさっ!!
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