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オレの言うことを聞いてくれない両手が、勝手にヘサームの腕を掴む。
これじゃあ、放さないでと言っているみたいじゃないか。
無理矢理体を開かされているっていうのに、自分からヘサームに抱かれにいっているみたいだ。
そう考えると、体が震えてしまう。
オレが男ではなくなってしまうような、大切なものを失う感覚が胸に過ぎる。
それが悲しくて、泣きそうになる。
「余計なことは考えるな。ただ、与えられる快楽のみを感じればいい」
ヘサームは、一度はオレを解放するものの、そう告げるとまた、オレの口を塞いだ。
ヘサームの舌によって、オレの舌が捕まる。
絡められ、薄い唇に貪られる。
そうすると、さっき、ふと過ぎった悲しみはすぐに消え去った。
ふたたび、快楽が押し寄せてくる。
「ん……んぅ……」
背中がゾクゾクする。
こんな感覚は知らない。
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