1.Escape~逃亡の果て

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 だけどさ、いくらなんでも人混みが多いこの街中でジャンビーアを振り回すわけにもいかないし、しかもオレよりもずっと背が高い大人の兵士を一度に4人も相手にできる自信はない。  ……最悪だ。  前も後ろも塞がれた。  オレに逃げ道はない。  行き交う人々は、『オレ』っていう、泥まみれで、ちっぽけな人間の運命が終わる瞬間を面白がっているのだろう。  立ち止まり、ジロジロ見てくる視線が、オレの体に突き刺さる。 「……っつ!!」  ――屈辱だ。  悔しくて悔しくて仕方ない。  オレは下唇を噛みしめ、捕まることを恐れた。  苦しみや悲しみも知らない、のうのうと暮らしている王の手先。  奴らに捕まるのを覚悟したら――。 「ぅえっ?」  オレの右腕が急に引っ張られた。  おかげで、抱えていたリンゴやらパン。  それからメロンがオレの目の前で宙を舞う。  そうかと思えば、オレを捕まえようとしていた前後にいる兵士たちは、『オレ』っていう標的を失ったことで兵士同士で勢い余ってぶつかり、倒れた。
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