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おじいちゃん、父さん、母さんに俺、四人で暮らしていた。穏やかな暮らしだった。朝は水汲みや雑草を刈ったり、果樹園の仕事の手伝いをして、昼は学校に行き勉強して、それから友達と遊んだ。夜は家族揃って夕食を食べ、次の日に備えて寝た。そんな日々が続いていた。子供の頃は、それは俺が大人になっても、おじいちゃんになっても、ずっと続くと思っていた。死ぬまで果樹園の傍で生きていくはずだった。
父さんは戦争が始まり一年くらいした頃、戦死したと知らせを受けた。おじいちゃんはそれから一年後くらいに病気になり死んだ。一八歳になった俺は兵士となり、各地を転々とした。母さんは南の方の基地の食事係として働いていたけど、そこを爆撃され死んだ。この村に住んでいた人が今はどうしているのかなんて、ほとんど知らない。
俺の家のあった場所から少し西を進むと、隣の村に続く道があった。昔はこの道を通って隣の村と自由に行き交いしていた。だけど、隣の村は隣国の領土だから、今は簡単に出入り出来ないのだろう。
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