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脳を駆け巡るのは、怒り、哀しみ、妬み、嫉み、全てのマイナスな感情。ブルーな色としてそれらが私から溢れているような気がした。
なんで、あんなちょろっと努力した雪が一位を取れるのか。なんで、ずっと頑張ってきた私が報われないのか。なんで、私はこんなにも才能がないのか。なんで――。
電車に揺られながら、大粒の溜まった涙が勢いよく落ち始めた。誰も恨めない。誰も悪くない。私だって悪くない。この感情がもう何かわからなかった。そして、自分を痛めつけたくなって、反吐が出て、やっぱり自分が嫌いになって――。
「美優。大丈夫か?」
こんな時に声をかけてくれる相手なんて、決まっている。その期待と共に振り返ると、そこにいたのは命だった。
「大丈夫なわけないじゃん⋯⋯」
しっかり顔を上げて、命を見て言った。どう映っているのかなんて、どうでもいい。なんなら今の醜態を見せてやりたかったのかもしれない。
そんな私を見て、命はなんでも許してくれて理解してくれそうな、そんな表情を私の目に焼き付けてきた。長い間、感じなかった温もりがそこにはあって――、
「⋯⋯海」
ポロッと、甘えた単語が出てきてしまった。
「⋯⋯いいよ」
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