(一)

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 夕日に照らされて、寄せては引いていく波がオレンジ色の太陽の光をキラキラと反射させていた。一行は思わず景色に見とれた。大隅(おおすみ)(けん)剣は夏井蘭子の、日向(ひゅうが)徳満(のりみつ)は大束咲来の腰に手を回して相手を抱き寄せながら。  信雄も同じく付き合っている彼女の高松瑞穂(みずほ)の腰に手を回そうとした。瑞穂はうつむき加減に、信雄の手から腰を逃がした。信雄は瑞穂から女子高育ちで男慣れしていないと聞いていたので、無理に他のカップルのマネをするのではなく、彼女の手を握ってつないだ。  景色を見るフリをしながら恥ずかしそうにうつむく瑞穂を見て、信雄は彼女のことをますますいとおしく思った。 (続く)
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