タイム・イズ・スパークル

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 そうやって何度も時代を繰り返してきた。なぜか彼とは毎回出会う。そして死ぬ。事故のときも自殺のときも、病気のときも自然災害のときもあったが、いつだって突然だった。何度も防ごうとしたがまだ防げたことはない。  最近ではもうほぼあきらめていた。片思いしていた時代、恋人として生きた時代もあったが、あるときから深く関わることをやめた。だって彼は必ず、私より早く死ぬのだから。  彼は、将棋の駒を持つ手がしなやかで、押し出す中指が太くも細くもないが、長く美しかった。すーっと私の心の中に溶け込みそうに優しく、穏やかな指先。  彼はものすごく強いので、まだ対局したことはない。いつも遠くから眺めてばかり。そしてこっそり考える。今回彼はどうやって死ぬのだろうか。わかっていれば助けたいが、今までのことを考えると不可能に近い。  念のために彼をこっそり観察したが、病気にはとうてい見えなかった。健康そのものの若い肌艶をしている。皮膚に張りもある。  こんなに楽しそうに将棋をさす人が、自殺とは考えにくい。自殺している暇があったら、将棋をさしたいと思っているような人だった。私の偏見かもしれないが。  事故や災害はどうしようもない。事故は防げるかもしれないと、ストーカーのようなことをしたこともあったが、二十四時間張りつくわけにも行かない。結局、私がいないときに不慮の事故で亡くなったこともあった。  そんな彼とある日たまたま、指導で将棋をさしてもらうことになった。大学生の彼と会社員の私。望んでいたような気もするし、このまま深入りしたくないというような気もしており、何だか複雑な気分になった。 「すみません、私下手くそなのに」 「最初はみんなそうですよ」  私は定石(じょうせき)といって、将棋をさす序盤の道筋のようなものをようやく覚えたばかりだった。覚えなくてもいいが覚えると楽。序盤にありがちな形をすんなりと抜けることができるからだ。  あまり待たせたら悪いと思って、ドキドキしながら一手一手を早くさそうと思うのに、思うように指が出ない。ようやく駒を動かすと、 「そこは角がきいてますよ」 とか、 「次、銀取れちゃいますけど大丈夫ですか」 とか、言われてしまう始末だった。緊張のせいでいつものようにさせないが、やっぱり将棋を趣味にするくらいなので、私はこの考える作業が好きだった。  
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