堕天使ルカの福音

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         -3-  二人が次に会う約束をしたのは1か月後のことだった。デート日和の快晴の空の下、私は朝から二人を監視した。  二人は車でいくつかの有名なラベンダー園を回り、それから北へ向かって長い山道を走り、西へ向かって海岸線へ出たあと、道の駅で昼食をとった。その後、海岸線を南へ向かって走り、港町のファミレスで夕食をとった。終始口数の少ない二人。会話がなくてもスキンシップはあるはずなのにそれもない。男女が一年も一緒に行動を共にすれば、こっちが恥ずかしくなるほどにいちゃついたりするものだけど、この二人はいつも静かで少し距離を置いている。この状況が私には不思議でたまらなかった。  夕食のあと、二人は車で海岸線を走り続けた。  綺麗な夕陽が海に落ちようとしていた時、車が路肩の駐車帯に停まった。そこは夕陽に染まる静かな浜辺が一望できる場所だった。二人は車から降りた。 「ミキ、素敵な場所だね。誰もいない静かな砂浜」 「綺麗な夕陽。ヒロト、いつも素敵な場所に連れていってくれてありがとう」  二人は駐車帯を離れ、砂浜に向かって歩いていった。それから古いベンチを見つけて二人は座った。 「ミキ、陽が海に溶けてゆくよ」  静かな波の音。陽が沈むオレンジ色の海を眺める二人。ときおりミキがヒロトの表情を伺う。ミキの頬は赤く染まっていた。ヒロトもミキの様子を気にしている。二人は寄り添った。二人の肩が触れた。 【どうやらここで決まりですね~】  夕暮れの空に一番星が光り始めた。
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