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「サンキュ」
どうにか絞り出した声は掠れてしまっていた。
やばい
めっちゃくちゃ嬉しい…っ
心臓バクバクいい過ぎて血管切れそうっ
うわー!!
25日までどうやって過ごせばいいんだ?!
心の中は完全に取り乱してるけど、気付かれるのはカッコ悪いから、密かに深呼吸しながら心を落ち着かせようとした。
詩音はもう耳まで真っ赤になってる。
すっげぇ可愛い
できることなら今すぐ抱きしめたい。
25日。
遠いのか近いのかも分かんねぇな。
詩音が恥ずかしそうに下を向いたから、俺は少し視線を上げた。
「あ、会長…と井澤部長」
なんだ、3人で待ち合わせか。
やな偶然だなって思いながらこっそり見ていたら、すぐに井澤部長が帰って行った。…不可解な表情を残して。
いや…、あの顔に近い感じ、見たぞ…?
あれはいつのことだった?
ここのところはもう脳の記憶媒体が詩音のことでいっぱいだから、他のことを思い出すのが難しい。
それに今は頭がフワフワしてるから…
結局思い出せないまま帰りの電車に乗った。
25日のことは、身体が反応しそうになるからあんまり考えないようにしようって思うのに、どうしても考えちまう。
いつものように詩音を支えてやって、でもいつもより何倍もドキドキしていた。
まさか聞こえねぇよな?
俺の胸にぴったりとくっついてる詩音を見下ろしながら思った。
25日。
とんでもない約束をしちまった気がする。
でも、約束ができたことがものすごく嬉しい。
好きだよ、詩音。大好きだよ。だから…。
25日
他の誰も知らないお前を
俺にだけ見せてもらうから
「日直日誌が書けてないから、後で体育館行くー」
眉を下げて、ちょっと情けないような表情で言った詩音を教室に残して部活に向かった。中島と三田が残ってたから手伝ってやるんだろうな。
早く来ねぇかなって思いながらなるべく体育館の入口付近を見ていたら、なぜか詩音たちは井澤部長と一緒にやってきた。
げっ!
井澤部長が詩音の肩に腕を回しやがったっ
やめろやめろ!
俺の詩音に触るな!
しかも俺が見てんの分かっててやってるだろ、あれっ
マジで性格悪ぃな
一部分でも尊敬したのを後悔しそうだ
詩音を部長から引き剥がして、抱きしめたいのをギリギリ我慢して頭を撫でた。中島と三田は、見て見ぬふりをしてくれながら、でも笑っていた。
つか井澤部長、ぜんっぜん普通だったな。
この前のあれは何だったんだってくらい。
まぁいいか。
気にならないわけじゃないけど、詮索したいわけでもない。
他人のことより自分のこと
1日…経った…
やばい
緊張感ハンパない
いつも可愛い詩音がますます可愛くて、片時も離したくない。
そんな俺のわがままを、詩音が受け入れてくれて嬉しかった。
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