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 土日の、静かな体育館で部活をして「冬休みはこんな感じか」と改めて思った。 「やっぱちょっと淋しーな、誰もいねぇと」  井澤部長が練習の合間にキャットウォークを見上げて、誰に言うでもなく言った。  部活が終わって着替えていたら、部長が俺の肩にポンと手をのせた。  手だけでも重てぇな 「羽村、この後ちょっと残って。話がある」 「え…あ…はい」  なんだ?  井澤部長は俺を見下ろして少し笑った。  部室からみんながいなくなって、俺と井澤部長の2人になったら部長は折り畳み椅子を近めに並べて「まあ座れよ」と言った。 「あの…わざわざ何すか?」  思い当たる節があるような、ないような…。  ちらりと見上げたら、井澤部長はニヤリと笑った。 「25日は佐伯くんとどんなデートの予定なんだ?」 「!」  それかっ! 「佐伯くんに25日どうすんのか訊いたら、みるみる赤くなっちゃってすっげ可愛かったからさ、何も応えてくれなかったけど、まぁデートなんだろうなと思って。クリスマスだしさ」 「…それ訊くためにわざわざ残したんすか?」 「そう。まぁお前に言っときたいこともあるし」  言っときたいこと? 「つか、中学のバスケ部、クリスマスパーティ続いてんだってな、25日のやつ」 「ああ…はい」 「てことは万都華ちゃんは夕方までいない。両親は仕事。おれだったら家に連れ込むけどな?」  図星を突かれた上に流し見られて井澤部長を凝視してしまった。  やばい  たぶんバレた 「ははっ、お前は素直でほんと可愛い。だからつい、からかいたくなるんだよなぁ。おれさ、正直なところ佐伯くんめっちゃタイプだけど、狙ったりしねぇから安心して?」  うわ  やっぱタイプなのかよ  安心しろって言われても… 「…信用してねぇな?まぁしょうがねぇか。…そういえば羽村さ、壮太と山田が付き合い始めたのいつだったか覚えてるか?」 「え?」  なんで急に会長の話? 「先輩たちが中2のクリスマス前、ですよね。学校中が盛り上がってたから覚えてます」  俺が応えると、井澤部長は、うんうんと頷いて少し眉根を寄せた。 「壮太あいつさ、おれにも何にも言ってなくて、突然山田に告白したんだぜ?『今だ!って思ったんだよね』とか言ってさ。いつの間にか2人の間でそういう空気みたいなのができてたみたいでさ。マジでビビった、あの時は」 「へー…」  さすがずっとこの人の幼馴染みやってるだけあるな、小野会長。  ちらりと目を向けると、井澤部長は椅子の背もたれに身体を預けてふーっとため息をついた。 「おれさぁー…、あの時、25日のクリスマスに壮太に告白しようと思ってたんだよね」 「…え…?」  今なんて…?  
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