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71 S
家に帰ってからもずっと匡也のことを考えてる。
ぼんやりして、そわそわして、何も手につかない。
明日忘れちゃいけないから、一番最初に匡也へのプレゼントをバッグに入れた。
匡也と色違いのカバーを付けたスマホを握りしめて時計を見た。
22時まであとちょっと。
かかってくるのが嬉しいから、自分からはかけない。
オレ、絶対我儘になってきてる。
ヤバいなって思いながら、今夜もワンコールで電話に出た。
眠ろうとしても眠れなくて、ベッドの中でごろごろ、ごろごろ、丸まったり、伸びたりしながらようやくウトウトして、眠ったような眠ってないような感じで朝になった。
ベッドのヘッドボードに置いてあるスマホを取って、ホームボタンを押した。
12月25日
とうとう、25日になった…
うわ、どうしよう、25日だ…っ
今日は一日中匡也と2人で、それで…
もうドキドキしてる。
たぶん、一日中ドキドキしてるんだと思う。
パスコードを入れて、天気のアプリを開いた。
降水確率40%。
雨のマークと一緒に雪のマークも付いてる。
降るのかな?雪。
でも雪よりも雨にわくわくしてる。
もぞもぞと起き上がって、昨日のうちに決めてあった服に着替えながら「なんか変な感じ」って思った。
だって…
ふるふると頭を振って着替えを済ませて、カーテンを開けて空を見た。
少し重たそうな雲が広がってる、まだ薄暗い白い空。
降る?降らない?どっち?って感じ。
4月のあの日は、降ってきちゃったかー、って思った。
11月のあの日は、わざと傘を持って行かなかった。
あ、でもそうか。もう、傘持ってても相合傘してもらえるんだ。
持ってないからっていう言い訳はいらないんだ。
色んなことが言い訳しないでできるようになった。
好きだから、だけでいい。
うれしい
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