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オレを抱きしめたまま、匡也はゆっくり閉まろうとするドアを力一杯引いてバフンッと閉めた。そのままパンッパンッと鍵をかける。
ぎゅううっと思いっきり抱きしめられるのが嬉しくて、匡也にすりすりと顔を擦り寄せた。
「…詩音、俺さ」
オレの大好きな、匡也の低くて甘い声が耳元で響く。
「お前のこと、すっげぇ好き」
少し掠れた声と、熱い息が頬にかかる。その熱が身体中に広がっていく。
好き、は何回聞いても幸せ
「オレも匡也大好き」
広い背中に腕を回して抱きしめた。
「…俺の部屋、すぐそこのドア…だけど」
少し腕の力をゆるめて、匡也がオレの顔を覗き込んでくる。
「ほんとにいい…?」
余裕なさそうに眉を歪めて、でもオレの気持ちをちゃんと確認してくれる。
やっぱ匡也は優しい
オレのこと、すっごい考えてくれてる
匡也を見つめたまま、うん、て頷いた。
「…待てないの、匡也だけじゃねんだぞ?」
ぎゅうっと匡也を抱きしめて、上目に睨みながら言ってみた。
「早くって…言ったじゃん…っ」
すっごい恥ずかしい
どんどん顔が熱くなってるからたぶん真っ赤んなってる。
でもオレの気持ち、ちゃんと匡也に伝えたい。
匡也がオレをじっと見下ろして、そして嬉しそうに笑った。
「じゃ、…入って、詩音」
そう言った匡也に手を引かれてスニーカーを脱いで、腰を抱かれて匡也の部屋の前まで来た。
ドキドキで周りが揺れて見える。足元はふわふわして床の感触がよく分からない。
匡也がドアを開けて、オレをじっと見下ろした。オレは手を伸ばして、匡也の首にぶら下がるように抱きついた。
ふわっと持ち上げられた後、パタンとドアの閉まる音がした。
匡也の部屋は匡也の匂いがする。
オレを抱き上げたまま数歩歩いて匡也は立ち止まった。
ゆっくりと下される。少し足を動かしたら何かに当たった。
ベッド…だ…
どくんっと心臓が打った。
どくどくどくどくとうるさいほどに鳴って、どっかの血管が破れるんじゃないかと思う。
「…詩音」
匡也が低くオレの名前を呼んで、そして大きな手で頬を撫でてくれる。
顎に指をかけられて、自分から上を向いた。
匡也、いつもとちょっと違う顔、してる…
ギラっとした目でオレを見てぺろりと唇を舐めた。
やば…
匡也からのキスを待ちきれなくて背伸びをした。
同時に匡也が屈んだからちょっと歯が当たってビクッとして、でもまたすぐに唇を重ねた。
優しく啄むように唇を吸われる。熱い舌が歯列を割って口内に入ってきたから、その舌に舌を絡めた。
ざらりとしてぞくりとする
身体の奥から、もっともっと、って声が聞こえる。
この前は必死で鎮めた、けど…。
今日は止まらなくていい
このまま進んで構わない
そうだよね?匡也
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