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その後、優羽と井上は、新穂高に到着した。
もう既に日が暮れ始め、辺りは薄暗くなって来た。
激しく降っていた雪は、段々と弱まり、今は小粒の雪がちらつく程度になっている。
二人が車を降りると、ワンボックスの車が停まっており、
井上はその車へと歩いて行った。
井上がその車の窓をコンコンとノックすると、窓が開いて男性が顔を出した。
「坂本さん! お帰りなさい! 大変でしたね! でもご無事で良かった!」
井上がそう声をかけると、その男性は笑顔で車から出て来た。
「井上さん、いやーご心配おかけしました。あんな天気の急変は誰も予測していなかったですよー! でも佐伯さんの的確な判断で難を逃れました!」
坂本は、雪焼けした真っ黒な顔でそう言って笑った。
坂本は、まだ戻って来た時のままの装備で、どうやら下山してからずっとここで待機しているようだった。
ワンボックス内には他に二名のスタッフがいた。その他のスタッフは既にホテルへ移動したとの事だった。
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