4.この世で最も恐ろしいのは、慣れである

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そう一人呟くがほどよく温まった体はルールをしっかり睡眠へ導いてくれて。 「あぁ、今日もなんだか気持ちのいい朝を迎えてしまったわ…」 そんなルールに予期せぬ来客が訪れたのは、依頼されていた魔法傷薬の数を数えていた時だった。 「すまない!料金は増しで渡すから先に傷薬をくれないか?!」 飛び込んで来たのは近くの街の果物屋のオヤジだった。 その焦った様子にルールも驚く。 「街で何かあったんですか?!」 「隣の街の奴らが暴れたんだ、自警団が来て取り押さえたが、怪我人がいる」 「わかりました」と、先ほどまで数えていた魔法傷薬を抱えて立ち上がったが、いつの間にか来ていたエドがルールの手からその魔法傷薬を取り上げ果物屋さんに続いた。 「エド?」 「これ結構重いです。途中でルールがこけたら台無しですから」 言い分は酷いがつまりは代わりに持ってくれるという事だったので言い返すのは止めてすぐ二人の後を追った。 怪我人は教会に集められているとのことだったので真っ直ぐに教会へ向かう。 人数は思ったより少なく、重傷者もいなかったので持ってきた魔法薬がむしろ余るくらいだったことにほっとする。
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