夸父追日

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 遥か遠く昔の話。地上は太陽が強く照りつけて旱魃(かんばつ)が発生し、また疫病が蔓延していた。  このような有様の為、地上に住む人間たちの人心は荒廃し、先も見えない明日に怯えながら今日を生き抜くために窃盗殺人等の犯罪が横行していた。  しかし、それに苦しんでいるのは何もの人間だけではない。  遥か北方に住む巨人族の夸父(こほ)はこのような地上の惨状に絶望し、いつ死ぬかも分からない恐怖から、不老不死の幻想に憑りつかれていた。  巨体ながらも脆い内面を見透かしたように彼の元に奇妙な人物が訪ねて来た。
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