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太陽から強い日差しが降り注ぎ、枯れた大地を駆ける巨体の影――夸父である。太陽に達しようと必死に追いかけていた。
巨人というだけあって、体力は無尽蔵であった。
しかし、どれほど追いかけても太陽に追いつくことは出来なかった。
太陽には確実に近づいていると思われるが、どれほど駆けてもその差は埋まらない。まさか太陽というのは偽りの光景、幻影なのではないか。
いや、そのような考えを起こすこと自体、愚かな行為そのものである。
あの仙人が言ったことに誤りがある筈が無い。不老不死を得ることはそれだけの代償が伴うということで、間違いなく太陽への距離は縮まっている。
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