夸父追日

3/6
前へ
/6ページ
次へ
 太陽から強い日差しが降り注ぎ、枯れた大地を駆ける巨体の影――夸父である。太陽に達しようと必死に追いかけていた。  巨人というだけあって、体力は無尽蔵であった。  しかし、どれほど追いかけても太陽に追いつくことは出来なかった。  太陽には確実に近づいていると思われるが、どれほど駆けてもその差は埋まらない。まさか太陽というのは偽りの光景、幻影なのではないか。  いや、そのような考えを起こすこと自体、愚かな行為そのものである。  あの仙人が言ったことに誤りがある筈が無い。不老不死を得ることはそれだけの代償が伴うということで、間違いなく太陽への距離は縮まっている。            
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加