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3.きみの側で過ごしたい
ベタついた体を簡単に洗い風呂場を出る。
ガシガシと乱暴にタオルで髪を拭きながら、ふと洗面所の鏡を見た。
「あー、だいぶ傷んできてるな」
ヤる度に彰が歯を立てるせいですっかりボロボロになったチョーカーが目に入る。
ところどころ擦り切れそうになっているその革のチョーカーをそっと指でなぞった。
“それだけこいつも一緒に過ごしたんだよな”
革がこんなになるまでずっと彰と過ごした時間を思う。
8年という月日は、長くて短い。
あっという間のようで本当に幸せの積み重ねだった。
「だからってこのままには出来ないしなぁ」
ポツリとそう呟いた俺は、もうすぐ来るだろうヒートが終わったら買い替えようと安易に考えながら風呂場を後にした。
そして予想通り、あっさりとヒートの来た俺は有給を取ってくれた彰と文字通りずっと抱き合う。
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