3.きみの側で過ごしたい

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「ん、ふぁ、ぁあんっ」 「ん、れん、れん……っ!」  俺の匂いにあてられたのか、いつもどこか余裕のある彰がこの時だけは余裕なく何度も抱く。  俺のために作られた俺の大好きな人の部屋で、溶け合うように体を重ねるこの瞬間が、いつも以上に余裕なく求められる事が何よりも嬉しくて――…… 「ん、蓮、噛みたい、お願い、俺と番に……」 「ぁ、んぁっ、や、だめ、あぁあ……ッ」 「好きだよ蓮、れん……っ、すき……!」  いつものようにガジガジと彰がチョーカーを噛みながら誘惑するように俺を促す。  頷きたい、頷けない。  彰のものにして欲しくて、俺だけのものにならないことが苦しくて――……  そんな時だった。  ブチッと変な音がして、蕩けていた脳が一気に覚醒する。  ポトリとベッドに落ちたのは、噛み切れてしまった俺のチョーカーだ。 「……は、ぁ……?」  一瞬理解できずポカンとチョーカーを眺めた俺は、『チョーカー越しではない』彰の舌にゾクリとした。  本当は誰よりも望んでいた唯一の誓い。  そして誰よりも怖がった運命への畏れ。
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