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声をかけたいのに、俺の口からはひゅーひゅーとした空気が漏れるだけだった。
「……蓮が、なんでそんなに番になりたがらないのかわかんないよ……。ごめん、ちょっと頭冷やしてくる。蓮は危ないから外出ちゃダメだよ?」
玄関を出る寸前、少しだけ振り向いてくれた彰と目が合った。
俺より絶対苦しそうな表情の彰は、それでもやはりヒートの俺を案じてくれていて――……
“あんな顔、させるつもりじゃなかったのに”
悔しくて、苦しくて、痛くて。
彰に釣られたのか俺の目にも涙が滲み、出ていく彰が揺れて見えない。
なんで、どうして。
何がダメだったのか。
「俺はただ、怖かったんだ……」
失うことが怖くて、彰の居なくなった日常を恐れて。
この居心地のいい部屋も。
俺の為に作られたこの空間も全部全部、彰が居なくちゃ意味なんてないのに。
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