1.きみと一緒に過ごしたい

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「そだねぇ、運命かぁ」  しみじみと続けられる“運命”という言葉に、ジュクリと心臓が傷んだ。  ――運命の番。  ドラマや漫画ではよくある設定だが、そもそもその『運命』に出会える人間はどれだけいるのだろうか? “一目見たらわかる……か”  穏やかに、緩やかに。  じっくりと想いを育んだ俺達には無縁の言葉。  重ねた時間に、育んだ絆に。どれだけの誇りを持っているとしても。 “……もし彰が、その運命とやらに出会ったとしたら”  オメガは噛まれたアルファしか受け付けなくなる。  しかしアルファは何人でも番を作る事が生物学上可能なのだ。 “番になったとして、もし彰に『ホンモノ』が現れたら。それでも、俺に会いに来てくれるのか? 抱いてくれるのか?”  彰のいない未来を想像し、彰だけを求めて泣く自分が簡単にイメージ出来てしまう。  ひとり世界に取り残されるようなじわりとした恐怖が、「番になろう」と言ってくれる彰を受け入れられない理由だった。 “好きだよ、すげー好き。だからこそ……怖い”  ぽすんと彰の肩に頭を預けると、柔らかく微笑んだ彰がそっと頭を撫でてくれた。
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