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ひとりでヒートとか起こさせたくないから、とヒート前になると必ず声をかけてくる彰が今回のヒートももちろん声をかけてくれたのだ。
“ま、仕事は彰の家でも出来るしな”
なんて思った俺は、少し逸る気持ちを抑えつつ鞄にタブレットPCのみを詰め込んで彰の家に向かった。
“この間来たばっかだけど”
いつの間にか揃えられていた俺好みの家具に俺用の歯ブラシと食器類。
俺の着替えも気付けばあったので、彰の気遣いに甘えここに来るときは手ぶらか仕事道具のみだった。
彰が用意してくれた俺の仕事用の机にパソコンをセットし電源を入れる。
“彰も今頃仕事だよな”
主人のいない部屋は少し寂しく、しかし大好きな匂いに溢れていて。
「……ん、やっぱりヒート近いな。匂いに敏感になってる……」
ズクン、と体が熱くなりかけるが頭を振って誤魔化した俺は目の前の仕事に取りかかった。
どれくらいの時間がたったのか、コト、と目の前にコーヒーが置かれてびっくりする。
「あ、彰? いつの間に帰ってきたんだ……!?」
「んー? ついさっきだよ。集中してたから声はかけなかったんだ」
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