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いつでも来ていいとは言われているものの、勝手に来たくせにお帰りすら言わなかった俺に嫌な顔もしない彰は、嫌な顔どころかむしろどこか機嫌が良さそうだった。
「……? なんかいいことあったのか?」
「んーん? 蓮が俺の部屋にいるのいいなぁって思っただけだよ」
「な……っ」
「このままずうっと帰らなくていいんだよ?」
「……一週間は、いる」
「ちぇ。ね、次のヒートは噛んでもいい?」
あざといくらい可愛くコテンと小首を傾げる彰にドキッとする。
“……噛まれたい”
そう思うのはオメガの本能なのか、それとも相手が彰だからなのか。
「……だめ」
「そか。あ、ご飯食べる? 出来てるよ」
一瞬寂しそうな顔をした彰は、すぐにパッと明るい表情でそう言ってくれる。
「えっ! ごめん俺何も手伝ってない」
「いいよ。俺は俺の部屋に蓮がいてくれるだけで嬉しいから」
“甘やかされてるなぁ”
俺好みにセットされたこの部屋だって、長く付き合っているから好みが似てきたという訳じゃなく少しずつ俺好みに彰が作り替えたものだった。
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