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真っ青な空がどこまでも続く午後2時。今日も机の前で両腕を組み、原稿用紙の余白を睨む。
彼女が引っ越してもう2か月が経つ。あの時以来、会うことはもうなかった。僕の足も、あのハンバーガーショップに向くことは自然となくなっていった。
結局、あの日々は何だったのだろうか。彼女は、本当に実在していたのだろうか。現実のような、長い夢を見ていただけなのでは……。
でも、今なら書ける気がした。空が白むまで過ごしたあの時間。暗い街並み、冷たい風、僕らを追い越す新聞配達の原付。そして、結局読み終わらなかった僕の文庫本。それらは確かに存在していた。
未明にて交わった2人の道は、朝の陽ざしと共に分かれ、そしてまた先へと進んでいく。
夢だろうがどうだっていい。僕は、僕らは間違いなくあの時間を過ごしたのだ。
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