何より甘いコーヒーをキミに

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何より甘いコーヒーをキミに

「熱いコーヒーが飲みたい」 「飲めばいいじゃん」 なんて、当然のようにしれっと言うのは一緒に住んでいる相方の幼なじみだ。 「飲めるならとっくに飲んでんだっつの」 「牛乳入れたらいいだろ?」 「薄まるんだよぉ~」 「は?冷めるじゃなくて?」 「いや、温度が下がるのもそうなんだけどさぁ⋯」 コトリと小さな音を立てて目の前に置かれたのは、ミルクで薄められた熱々“だった”コーヒーだ。 「薄まってるぅ⋯」 「いや、牛乳なんだから薄まってねぇって。つかそもそもお前ブラック飲めねぇだろ」 「味はな!確かにブラック飲めねぇけど!」 「だったらこれで正解だろ。猫舌のお前でも飲める温度、そんで子供舌のお前でも飲める味」 「子供舌ぁ!?」 なんだと、と文句を言おうと睨み付けるが、そんな俺の様子なんか無視して俺の飲みたかった熱々のブラックコーヒーを片手にこの少し生意気な幼なじみが隣に座る。 「うぁ、いい匂い⋯」 思わず溢すようにそう呟くと、チラリとこっちを見たと思ったらこれ見よがしに一気に飲み干して。 「⋯あっ、おまっ、俺の絶対出来ないこ⋯⋯っ、ん、んんっ!?」
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