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欲しいのはボタンじゃなくて未来なので
「今日で俺達も卒業か」
なんて感傷に浸っているのか、いつもよりしんみりとした笑いを漏らす君の隣で俺も窓から外を眺める。
「3年あっという間だったよな」
「高校生活に悔いはないが、誰からもボタンくれって言われなかったのは残念だ」
「俺もって言って欲しいのか?ここ男子校だからな?」
何言ってんだよ、と笑い飛ばす。
“俺の気も知らないで⋯”
欲しいといえばくれるのか?
くれって言った後も友達でいてくれる?
心の中で質問をするが口には出さない。
ーーきっと、口に出した瞬間終わるから。
なんて、笑い飛ばしたはずなのにしょんぼりしてしまった俺は、『卒業』という喜ばしくもありしんみりしてしまうイベントのせいだとそう結論付けてそのまま俯いていた。
「なんだよ、お前まで凹むなよ」
「凹んでねぇよ、卒業だからだって。他意はねぇし」
「んー⋯そか。」
案の定騙されてくれたそいつは、いきなりブチッと自分のブレザーのボタンを外すと突然差し出されて。
「⋯は?」
「卒業だからさ、ほら、やるよ」
「あ、え⋯?なん⋯で?」
「お前のも渡せ、交換しようぜ」
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