欲しいのはボタンじゃなくて未来なので

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「ははっ、なんだそれ」 軽快に笑い飛ばされ、俺も「それな」なんて笑い飛ばす。 ーーどうか俺の笑顔がひきつってませんように。 そう願いながら。 “もし俺がこんなに臆病じゃなかったら” これからの俺達を、その関係を変えられたのだろうか。 「帰るか」 「そうだな」 「クラスの集まり何時からだっけ」 「16時つってたぞ、着替えて駅集合ってさ」 「制服着れるの今日が最後なのにか?」 「制服だと夜まで騒げないからだろ」 「あーね」 他愛ない会話。 この距離以上に近付けなくても、それでもこの距離でいれるならー⋯ 「卒業したかったんだけどなぁ」 ボソリと言われた言葉が理解できず、思わずキョトンとしてしまう。 「⋯は?今日しただろ、卒業」 「まぁ、学校はなー」 訳のわからないそいつの言葉に、何故か胸が痛いほど跳ねた。 「それって⋯その、どういう⋯」 「さぁ、今日はこれだけで満足しとくわ」 しれっとした表情で見せられるのは俺のボタンで。 「は?それ⋯ほんとどういう⋯」 まさか。そう思う気持ちと、もしかして?という小さな期待。 「じゃ、16時にな!」 「あ、あぁ⋯」
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