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一瞬で跳ねる心臓を少し怨めしく思いつつ、他意がない事はわかりきっているのでなるべく自然に見えるように俺は了承した。
そして、夜。
「お邪魔します」
「おー!上がって上がって!」
「これ母さんから。渡したいんだけどご両親は?」
「あれ、言ってなかったっけ、今日二人ともいないんだよ」
「⋯⋯⋯え?」
「だからまぁ、お前誘ったんだけど」
「誘ったってのは⋯」
“ま、まさか⋯”
「今日はホラー大会な!」
「ん、知ってた」
簡単に期待する自分を殴りたくなりつつ促されるままベッド横の座椅子に座る。
すぐ隣に腰掛けたそいつを見ないようにしつつ心霊番組を観始めた。
「ーーうわっ」
小さく声を漏らし俺の腕にしがみつく恋人は正直言って可愛すぎて。
“あーーー、これが生殺しってやつか?”
なんて内心頭を抱える。
全く頭に入らない心霊番組に苦笑しながら、これ以上意識して理性を飛ばさないようにあやふやな般若心経を唱えてみた。
「や、やめて!?なんかいんの!?なぁ!」
「え、俺口に出してた?」
「ほんっと怖いんだけど!?」
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