残業時間をキミと一緒に。

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「どうだって言われても⋯」 口ごもる俺を無視してそのまま隣に座った先輩は、サッと俺から半分以上の書類を取って。 「っ、あ!ちょ、それは俺の⋯」 「今から二人でやれば終電間に合うだろ?」 「それは⋯」 そうだけど。と納得しかけてすぐにハッとする。 「いや!先輩の方の終電って俺より早かったですよね!?本当にいいんで!⋯って、へ?」 慌てて回収された書類を取り返そうと手を伸ばした俺に渡されたのは書類ではなく。 「シャツ⋯?」 「コンビニって何でも売っててすごいよな。これで明日の仕事着もバッチリだ」 「え、それって⋯」 「ほら、さっさと終わらせて帰ろう、もちろん泊めてくれるんだろ?」 思わずポカンと目を見開く俺を少し可笑しそうに笑った先輩は。 「十分頑張ってる後輩を助けるのは先輩の役目だし」 「⋯はい」 「それに、十分頑張ってる恋人を労うのは恋人の特権だしな」 なんて再び向けられた笑みに、思わず顔が熱くなる。 この人には本当に敵わない、と俯きつつも頬が弛むのを止められなくて。 「⋯頑張ります」 「期待してます」 仕事でも、プライベートでも。
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