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草のグリーン、ドレスのカナリア、髪に琥珀の彩色を。
触れれば堅い樹の幹と、見事な対比を見せているその姿は、なるほど印象派の絵のようだ。
しかし少女は生身の人間のはずである。
フレディはコートを脱ぎ、差し出した。
一雨ごとにあたたかくなる。
春を呼び寄せるための、これは幾度目の雨だろう。気温は未だ、冬の領域を出てはいまい。
「だいじょうぶよ。私」
「僕のために。落ち着かないんだ」
事実、心は浮ついていた。喋る彼女に、安心などして。
「ありがとう、フレディ。私、この公園ではあなたに助けられてばかりよね」
「それは、どうだろう」
君のしていることに比べたら。
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