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なぜこんなことに。
再びフレディはいぶかしむ。水と音とに、閉塞感はじわじわと膨らみ増していくようだった。
なぜ自分がここに居る?
「お仕事帰りね、フレディ。だいたいこの時間なの?」
話しかけられたことはありがたく、とびつくような応えは、平素より大きな声であったかもしれない。
「何かが起きない場合はだね。明るいうちに帰れるのは一週間ぶりだ。と言っても雨だけれど」
「でも明るいわよ」
無邪気に言われてしまえば、肯くしかなかった。
他になんと言ったらいいのかわからないでいる。
自分としては、せっかく早く帰れるその日が晴れではないのは不満なのだ。
けれど彼女の言うように、雨でも明るい空ではある。
「君は、散歩?」
「えぇ」
得意気に。なぜ。
「私も何もなければね、この頃に歩くことにしているの。魔女たちの時間だから」
「魔女の――なに?」
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