風景論~雨

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「時間を言ったのよ。黄昏時をそう言うって本に書いてあったの。だから、魔女とすれ違っているかもしれないわ」 「すれ違っても気づかなければ」 「ないのも同じだとそう言うのね。それは賢者の言い分よ」  最後まで言えずに遮られた言葉の続きを、まさに彼女は知っていた。 誰かが(賢者が?)先に、指摘をしていたことらしい。 しかし『言い分』扱いをしてしまっては、『賢者』の意味するところは軽い。 もっと尊重されるべき識者に、彼女の意見は支持されてでもいるのだろうか。まるでそんな、言い方だった。 もっとも誰ともすれ違いようはなくなっている今現在、どうでもいいような話である。 そう考えてフレディは、はっとするような思いで訂正を入れた。 いつとなっても、どうでも構わない話なのである。 黄昏時に過ぎ行く人の、フードの中身を見てはならない。 持ち上げられた賢者の立場を貫いて、今後も見ない気づかぬを押し通そう。
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